作成日:2026/03/30
命令していない残業でも残業代は必要? 打刻と残業申請のズレ問題を社労士が解説
今日もありがとうございます。
人事トラブルを整理する「人の専門家」元ハーレー社労士
ハーレー好きの社労士 キャプテン ヒデです。
中小企業の経営者からよく受ける相談の一つに、次のようなものがあります。
「会社は残業を命令していないのに、社員が勝手に残っている。 その分の残業代は払う必要があるのでしょうか?」
特に最近は、勤怠システムの打刻時間と残業申請の内容が一致しないケースが増えています。
例えば、
打刻は18:45だが、残業申請は18:00まで
申請がないのに打刻が遅い
始業前に打刻して待機している
といったケースです。
結論から言うと、会社が残業を命令していなくても、一定の場合には残業代の支払いが必要になる可能性があります。
今回は、打刻と残業申請の乖離問題を労務管理の視点から整理してみます。
労働時間は「命令の有無」だけで決まらない
労働基準法では、労働時間とは
使用者の指揮命令下に置かれている時間
と考えられています。
そのため、残業についても
明確な命令がある場合
業務上やむを得ず行われている場合
会社が黙認している場合
などは、実質的に会社の指揮命令下にある労働時間と判断される可能性があります。
裁判例でも、会社が残業を明確に禁止していない場合や、業務量から残業が必要と認められる場合には、残業代の支払い義務が認められたケースがあります。
つまり、
「命令していない=残業ではない」
とは単純に言えないのです。
打刻と残業申請が一致しない問題
多くの会社では、
打刻(客観的な労働時間)
残業申請(会社の承認)
という二つの仕組みを使っています。
しかし実務では、
打刻は遅いが申請がない
申請時間より長く働いている
申請していない残業がある
といったズレが発生することがあります。
このとき会社が
「申請していないから残業ではない」
と一律に扱うのは注意が必要です。
厚生労働省の
「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」
では、会社は
客観的な方法で労働時間を把握すること
が求められています。
打刻データは、まさにその「客観的記録」です。
したがって、打刻と申請が大きく乖離している場合には、
なぜその時間まで打刻されているのか
実際に業務をしていたのか
を確認する必要があります。
始業前の待機時間は労働時間か
もう一つよくある問題が、始業前の待機時間です。
例えば、
打刻機が1階にある
職場は4階
始業8:30だが8:20に打刻
というケースです。
この場合、労働時間の考え方として重要なのは
実際に業務が開始できる状態にあるか
です。
もし
打刻後すぐ業務開始を求められる
準備作業を行っている
といった場合は、労働時間と判断される可能性があります。
一方で、
単に早く来ているだけ
業務開始まで自由時間
であれば、労働時間とは扱われない場合もあります。
このあたりは、実際の運用が重要になります。
職場秩序としての残業ルール
打刻と残業申請の乖離は、単なる賃金問題だけではありません。
勝手な残業
不必要な長時間労働
業務効率の低下
など、職場秩序にも影響します。
そのため企業としては、
残業は事前申請・承認制
無断残業は禁止
業務終了後は速やかに退社
といったルールを整備することが重要です。
ただし、ルールを作るだけでは不十分です。
実際に業務量が適切か
上司が帰りにくい雰囲気を作っていないか
業務上残業が必要になっていないか
といった実態も見直す必要があります。
人材管理という視点
最近は、長時間労働の問題が
採用
人材定着
生産性
にも影響しています。
労働時間の管理は、単なるコスト管理ではなく、
人材を活かすマネジメントの一部
でもあります。
適切な業務配分
明確な残業ルール
効率的な働き方
を整えることが、結果として企業の競争力につながります。
まとめ
「命令していない残業は払わなくてよい」と単純に考えるのは危険です。
重要なのは、
実際に労働していたのか
会社が把握できたのか
業務上必要だったのか
という実態です。
打刻と残業申請の乖離がある場合には、
労働時間管理の仕組み
残業ルール
業務運用
を見直す機会と捉えることも大切です。
労働時間管理は、
職場秩序を守り、人材を活かすための基本とも言えます。
※本記事は、実際の経験をもとに内容を再構成した記録であり、
特定の個人・企業・事案への助言や判断を示すものではありません。
制度や運用に迷う場合は、専門家と一緒に整理することも一つの方法です。
人事労務の現場では、
同じような問題がさまざまな会社で起きています。
・問題社員への対応
・採用トラブル
・労基署調査への対応
などでお困りの際は、
個別の状況を踏まえて整理することもできます。
必要な場合はお気軽にご相談ください。
※本記事は、実際の経験をもとに内容を再構成した記録であり、
特定の個人・企業・事案への助言や判断を示すものではありません。















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